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安定狭心症に対するPCIは予後を変えない(COURAGE試験)

Optimal medical therapy with or without PCI for stable coronary disease
N Engl J Med 2007;356:1503

〇PICOはなにか
P:安定狭心症もしくは安定化させた不安定狭心症
I:薬物療法+PCI(PCI群)
C:薬物療法のみ(薬物療法群)
O:全死亡と非致死的心筋梗塞

Inclusion criteria:造影上70%以上の狭窄があり客観的に虚血が証明されているもの、造影上80%以上の狭窄があり虚血の証明がされていないもの
Exclusion criteria:不安定狭心症(CCS4)、軽度の運動負荷で生じる虚血、難治性心不全、心原性ショック、LVEF30%以下、6ヶ月以内の血行再建

薬物療法は、βblockerとACE阻害薬/ARBなどに加えて、60-85mg/dlを目標にしたLDL低下療法を行い、それが達成されたのちにHDL>40mg/dl、TG<150mg/dlを目標に運動療法やフィブラートなどを用いた。 〇ランダム割付されているか 本文には記載なし(Supplementary Appendixは未確認)。 〇baselineは同等か LAD近位部病変は薬物療法群で多い(PCI群31%vs薬物療法群37%)。 年齢は61歳ぐらいで、8割が男性。CCS分類・糖尿病・心不全・脳血管疾患・心筋梗塞の既往・以前のPCIやCABG・病変数などはすべて同等。 〇盲検化されているか 患者・治療介入者:盲検化できない Outcome評価者:記載なし 解析者:盲検化されていない 〇症例数は十分か 3年間のイベント発生率は薬物療法群21.0%、PCI群16.4%と仮定し、power0.85、αlevel0.05で必要症例数は2270例と算出され、2287例ランダマイズされている。 〇すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか PCI群には1149例ランダマイズされ、うち46例がPCIが行われず、27例が病変通過できなかったため、PCIが行われたのは1688病変1077患者である。薬剤溶出性ステントは31例に使用されている。薬物療法群には1138例登録された。Lost follow upは両群とも9%(PCI群107例、薬物療法群97例)であった。ランダマイズされたすべての患者が解析されている(ITT解析) 〇結果の評価 Primary endpointである全死亡+非致死的心筋梗塞は、PCI群19.0%、薬物療法群18.5%で有意差なし。心筋梗塞もPCI群13.2%、薬物療法群12.3%と有意差なし。 造影上の治療成功は、TIMI3のflowが得られており、POBAのみなら50%以下の狭窄、ステント留置なら20%以下の狭窄と定義されている。それが達成できるのは93%ということで、決して高くないような気がする。 これは2007年に報告されたもので、それ以前は造影上有意狭窄であれば治療対象となっていた。しかし、この試験によりPCIは薬物療法と比べて生命予後改善効果や心血管イベント抑制効果はないことが証明され、米国では待機的PCI件数は減少傾向にある。ただ、この試験には軽症例が多く含まれているため、中等度(心筋全体の10%)以上の虚血が証明された症例に対するPCIが予後を改善するかを検証するISCHEMIA試験が進行中である。