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メトホルミンは2型糖尿病の第一選択薬なのか

Metformin as firstline treatment for type 2 diabetes: are we sure?
BMJ 2016;352:i197

《key messages》
・メトホルミンは1998年から2型糖尿病の第一選択薬と考えられていた。
・UKPDS34試験がその根拠になっているが、それにはいくつかの欠点がある。
・メトホルミンが微小血管障害と大血管障害を明確に減少させたということを示したプラセボ対照試験はない。
・メトホルミンや他の抗糖尿病薬の使用に関するより良いエビデンスが必要である。

《要約》
メトホルミンは2型糖尿病の第一選択薬として推奨されている。その推奨の根拠は、1998年に公表されたUKPDS34試験であり、10年の全死亡(RR:0.64、95%CI:0.45−0.91)と心筋梗塞(RR:0.61、95%CI:0.41−0.89)を減少させた。死亡に対するNNTは14である。しかし、これらの印象的な結果は肥満患者のサブグループ解析(メトホルミン群342例、従来治療群411例)であり、他の試験では再現されなかった。RCTのメタ解析では、メトホルミンは2型糖尿病のアウトカムを改善させなかった。

UKPDS34試験では、スルホニルウレア(SU)単剤による治療と比較しSU+メトホルミン群では死亡率が60%有意に増加した。その事実は見落とされ、肥満患者に対するメトホルミンの驚異的な効果のみ信頼され、多く引用された。

二重盲検でなかったこと、プラセボ対照ではなかったことがこのようなバイアスを生んだ可能性がある。一般的に、二重盲検がされていない試験では治療効果を過大評価する傾向があり、隠匿化されていないと40%も治療効果を過大評価する可能性がある。

UKPDS34試験では、当初は有意水準はP<0.01とされていたが、途中でP<0.05と変更されている。そして、メトホルミンの全死亡と心筋梗塞のprobabilityはそれぞれ、0.017と0.011といずれも当初の有意水準を上回っている。

UKPDS試験の参加者の付随する治療の詳細が不明であり、メトホルミンのみによる効果なのか判断できない。

◯感想
UKPDS34の結果からメトホルミンが第一選択薬として推奨されていたが、試験デザインとしてはこれだけの突っ込みどころがあったことに驚き。しかるべき人が見るとこれだけつっこみどころがあるんだなぁという感じ。メトホルミンが心血管イベントを抑制する付加的な作用があるかどうかは議論が分かれるところかもしれない。ただ、メトホルミンは安価で比較的安全に使用できるため自分の中では、新しめのお高い薬より処方の優先度は高いです。