不整脈

修正バルサルバ法で上室性頻拍を止める REVERT試験

Postural modification to the standard Valsalva manoeuvre for emergency treatment of supraventricular tachycardias (REVERT): a randomised controlled trial.
Lancet. 2015 Oct 31;386(10005):1747-53.

《要約》
背景
バルサルバ法は上室性頻拍に対し国際的に推奨された治療であるが、アデノシンの投与が必要になることもある。バルサルバ法の際の体位変換が有効かどうか検証した。

方法
イギリスの救急部門で、無作為化並行試験を行った。心房細動/心房粗動を除く上室性頻拍の患者を修正バルサルバ法と標準的バルサルバ法に1:1に無作為に割り付けた。いずれの群でも40mmHg、15秒間を標準的な圧とした。無作為化および層別化は中央で独立して行われた。患者と治療介入者は盲検化していない。主要評価項目は1分以内の洞調律化であり、盲検化された者がそれを確認する。この試験はCurrent Controlled Trialsに登録されている。

結果
2013年1月11日から2014年12月29日まで、433例を登録した。2回目の登録があったため、5例を除外し、各群214例がITT解析に含められた。標準的バルサルバ法では37/214例(17%)が、修正バルサルバ法では93/214例(43%)が洞調律に復帰した(調整後OR3.7[95%CI:2.3−5.8])。重大な有害事象はなかった。

結論
修正バルサルバ法は上室性頻拍に対する第一選択の治療として考慮すべきである。

修正バルサルバ法については、百聞は一見にしかず。
LancetのHPでご確認ください。

◯この論文のPICOはなにか
P:上室性頻拍
I:修正バルサルバ法
C:標準的バルサルバ法
O:1分以内の洞調律化

inclusion criteria:18歳以上、上室性頻拍(regular、QRS<120msec)
exclusion criteria:収縮期血圧90mmHg未満、カルディオバージョンが必要な患者、心房細動、心房粗動、大動脈弁狭窄症・最近の心筋梗塞、緑内障、網膜症などバルサルバ法が行えない患者、バルサルバ法ができない患者、横たえられない患者、足を上げることができない患者、妊娠後期、以前この試験に参加している患者

◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢55歳、半分はSVTの既往がある人、アブレーション7%、弁膜症2%、COPD3%、SpO2:98%。

◯結果
result

◯感想/批判的吟味
・open-labelだが、outcome評価者は盲検化されている。
・ITT解析

修正バルサルバ法は、従来のバルサルバ法に比べて面倒な方法でもないし、試す価値はある。息をこらえてもらう方法だと、きちんとバルサルバ法ができているかわからなかったけど、ビデオにあるようにシリンジを用いるとしっかりと胸腔内圧を高められるので、この方法も取り入れたい。