心不全

EMPA-REG OUTCOME試験 エディトリアル

Cardiovascular Risk and Sodium-Glucose Cotransporter 2 Inhibition in Type 2 Diabetes.
N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2178-9

2型糖尿病は心血管疾患や腎疾患のリスクを上昇させるが、ACCORD試験では厳密な血糖コントロールを行っても心血管イベントは減少しないことが示されている。EMPA-REG OUTCOME試験では、エンパグリフロジンにより全死亡と心血管死を減少させ、3point-MACEに対するNNTは39と驚くべき効果があった。

組織への糖の取り込みは、SGLTやGLUTを通して行われる。GLUTは受動的な取り込みを、SGLTは能動的な取り込みを行う。SGLT2は腎臓に特異的だが、SGLT1は全身に分布しているため、それの阻害は広範囲な影響があるだろう。

SGLT2阻害薬はインスリ抵抗性改善と血糖効果作用を有する。インスリンには依存しない効果がある。体重減少、降圧、タンパク尿減少、尿酸値減少などの効果がみられている。

EMPA-REG OUTCOME試験を実臨床に適応する際の注意点としては以下の点があげられる。糖尿病の罹患暦が10年以上の症例が多くを占め、糖尿病薬・降圧薬・脂質降下薬など多剤を内服している症例が対象である。80%が白人なので、そのほかの人種では同様の結果になるかはわからない。心血管疾患がない2型糖尿病にも同様の効果があるかはわからない。有害事象についてはさらなる観察が必要である。