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コルヒチン 急性心筋梗塞の梗塞サイズの縮小効果 pilot study

Anti-Inflammatory Treatment With Colchicine in Acute Myocardial Infarction: A Pilot Study

◯この論文のPICOはなにか
P:発症12時間以内のSTEMI
I:STEMIに対する標準的治療に加えコルヒチンの内服(コルヒチン群)
C:STEMIに対する標準的治療に加えプラセボの内服(プラセボ群)
O:入院後72時間までのCK−MBのAUC

exclusion criteria:18歳以下、80歳以上、活動性の炎症性疾患・感染症・悪性腫瘍、コルチコステロイドや抗炎症薬の使用、コルヒチンに対するアレルギー、慢性的なコルヒチンの内服が必要な状態、eGFR<30、肝不全(Child B/C)、心室細動、心原性ショック、ステント血栓症、心筋梗塞発症48時間以内の狭心症状、陳旧性心筋梗塞、左冠動脈主幹部病変、左回旋枝病変、側副血行路の存在

コルヒチンの内服方法:まず、2mgをローディングする(1.5mgを内服し、その1時間半後に追加で0.5mg内服する)。以降、0.5mgを1日2回、5日間内服する。体重が60kg未満の場合は0.5mgを1日1回に減量する。

STEMIに対する標準治療:primary PCI, ビバリルジン、ヘパリンと/または糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬、標準的薬物療法(スタチン、β遮断薬、アスピリン、チカグレロルまたはプラスグレル)

CK−MBの測定方法:入院時と、それ以降4時間おきの測定。

◯ランダム化されているか
冠動脈造影後にランダム化(コンピュータのランダム化アルゴリズムによる割付)

◯baselineは同等か
梗塞サイズに影響が出そうなonset to balloon time、責任病変の部位、最終造影のTIMI flow gradeを含め、全て同等。

◯症例数は十分か
プラセボ群のCK−MBのAUCは6000ng・h/ml、power0.85、αlevel0.05、コルヒチン群でCK−MBのAUCが25%低下すると仮定し、必要症例数は150例と算出されている。登録されたのは151例(コルヒチン群77例、プラセボ群74例)で、症例数は十分である。

◯盲検化されているか
double blind trial。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ランダム化されたすべての患者が解析に含まれているITT解析である。

◯結果
primary endpointであるCK−MBのAUCは、コルヒチン群:3144ng・h/ml、プラセボ群:6184ng・h/mlと有意にコルヒチン群で低かった(P<0.001)。

secondary endpointである高感度トロポニンTの最大値は、コルヒチン群:19763pg/ml、プラセボ群:45550pg/mlとこれもコルヒチン群で有意に低かった(P=0.001)

また、60例(コルヒチン群:31例、プラセボ群:29例)でMRIが施行されている。そのbaselineにも統計学的な
有意差はなく、遅延造影MRIによる梗塞サイズの測定(体表面積で標準化)は、コルヒチン群:18.3ml/1.73m2、プラセボ群:23.2ml/1.73m2と、これもコルヒチン群で有意に低かった(P=0.019)

◯批判的吟味/感想
・小規模のパイロット試験。
・サロケートマーカではあるが、primary endpoint/secondary endpointともに統計学的有意にコルヒチン群で低かった。
・コルヒチン群で消化器症状などにより26%の症例で内服を中断している(プラセボ群は4%)。安全性や長期的な副作用の問題についても検証が必要。
・これはギリシャからのデータだが、体型が小さく高齢者が多い日本のSTEMI患者でもこれだけの効果があるのか。
・次のフェーズの試験の結果が待たれる。期待大。