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コルヒチンは冠動脈バイパス術周術期の心筋障害を抑制する

Usefulness of colchicine to reduce perioperative myocardial damage in patients who underwent on-pump coronary artery bypass grafting.
Am J Cardiol. 2015;115(10):1376-81

CABGの周術期にコルヒチンを内服して、周術期の心筋ダメージが減るかを検証したRCT。

コルヒチンは痛風予防薬として、以前から使用されている薬剤。自分で処方したことはほどんどない。副作用としては消化器症状が結構な頻度でみられるらしいが、低用量なら消化器症状はでにくいらしい。そして、なによりも安価であることがよい。

冠動脈疾患患者で心筋梗塞を予防することは証明されている。
コルヒチンは冠動脈疾患患者の心筋梗塞の予防に有効

○この論文のPICOはなにか
P:スタンダードな人工心肺下冠動脈バイパス術(on-pump CABG)が予定されている患者
I:術前48時間前から術後8日までのコルヒチン(1回0.5mg、1日2回)の内服(コルヒチン群)
C:プラセボ(プラセボ群)
O:術後48時間以内の高感度トロポニンT(hsTnT)の最大値

exclusion criteria:18歳以下・80歳以上、弁膜症手術、off−pump CABG、4週間以内のACS、麻酔導入前の循環サポート、トロポニンを上昇させる状態、活動性の炎症疾患、感染性疾患、悪性腫瘍、ステロイド・抗炎症薬の内服、コルヒチンに対するアレルギー、慢性的なコルヒチンの内服、eGFR<35ml/min/1.73m2、Child−Pugh classB/Cの肝不全

hsTnTとCK-MBの測定は、入院時・術中(大動脈のクランプした時点)・12時間後(大動脈のクランプから)・24時間後・36時間後・48時間後に行う。

○ランダム化されているか
コンピュータ割付。

○baselineは同等か
年齢は65歳ぐらいで7割が男性。高血圧症・糖尿病・喫煙歴など冠危険因子は同等。心筋梗塞やPCIの既往も同等。EF50%ぐらいで、大動脈のクランプ時間は70分程度、バイパスしたグラフトは3本で群間差なし。βblockerやスタチンの内服率も群間差なし。

○症例数は十分か
プラセボ群29例(CABGの中止が1例)、コルヒチン群30例。 必要症例数についての記載なし。

○盲検化されているか
double blind trail。最後の患者のフォローアップが終わるまで、割付については盲検化されたまま。

○すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析と記載されているが、CABGが中止になった1例を除いて、プラセボ群29例、コルヒチン群30例で解析されているため、modified ITT解析と考えられる。

○結果
hsTnTの最大値は、コルヒチン群で616pg/ml、プラセボ群で1613pg/mlと有意にhsTnTの上昇が抑えられていた(P=0.002)。術後48時間までのAUC(area under the curve)もコルヒチン群で20363pg h/ml、プラセボ群で40755pg h/mlとコルヒチン群で有意に低値であった(P=0.002)。CK-MBに関しては割愛するが、最大値・AUCともにコルヒチン群で有意に低値であった。

○批判的吟味/感想
・単施設
・サロゲートマーカー
・コルヒチンの抗炎症作用により、虚血あるいは再韓流障害、distal embolismなどが抑えられたり、心筋細胞障害につながるようなサイトカインなどを抑えるらしい(ちょっと適当)。 自分がCABGの周術期管理をすることはありませんが、やはりコルヒチンは有効なよう。単施設でNも少ないが、Nが多くなればハードエンドポイントでも有意差がつきそう。