心筋疾患

心臓限局性サルコイドーシスの臨床像

サルコイドーシスは、全身の多臓器に非乾酪性肉下種を生ずる疾患で、原因は不明だが最近の研究ではアクネ菌感染後の遅延型アレルギーが肉芽腫形成に関与すると報告されている。心臓病変が致死的不整脈や重症心不全を引き起こすため、生命予後に関わる重要な要因とされている。

日本人では心臓病変の合併が多く、50-70%は心臓病変で死亡するとされており、中高年の女性で心臓病変の合併が多い。

・心臓限局性サルコイドーシスの診断
〇心内膜下心筋生検
感度は20-30%と低い。
CMRにより病変部位を予想し、特定の部位を狙って行われることもある。

〇バイオマーカー
特異性・感度に優れたバイオマーカーはない。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)の上昇
リゾチームの上昇
がみられることもある。

〇心エコー
左室壁の限局的な菲薄化・瘤化がみられることがある。
特に心室中隔の基部が好発部位であり、特異性が高い。
4mm以下であれば100%の特異度
中隔基部壁厚/中間部壁厚<0.6で特異度99%、感度35%

〇Gaシンチグラフィ
心臓にGaの取り込みがあれば本症である可能性が高い。
他臓器のサルコイドーシスの診断にも有用

〇CMR
多彩

〇FDG-PET/CT
炎症組織では糖代謝が亢進しているが、正常心筋でも糖代謝はあるため、FDGは心筋に取り込まれる。そのため、撮像の前に炭水化物の制限と絶食が必要になる。診断感度は66.7%。心臓外のサルコイドーシス病変の検出にも有用。

・治療
全身のサルコイドーシスに伴う心サルコイドーシス同様、ステロイドが使用される。

参考:日内会誌2015;104:120-127