虚血性心疾患

ACSでの血行再建前のスタチンローディング

Effect of Loading Dose of Atorvastatin Prior to Planned Percutaneous Coronary Intervention on Major Adverse Cardiovascular Events in Acute Coronary Syndrome: The SECURE-PCI Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2018 Apr 3;319(13):1331-1340.

【PICO】
P:1週間以内に冠血行再建が予定されているACS
I:アトルバスタチン80mgのローディング
C:ローディングなし
O:全死亡、心筋梗塞、脳梗塞、計画していない冠血行再建

exclusion criteria:ローディングの24時間以内にフィブラートを内服している症例、ローディングの24時間以内にスタチンを最大量内服している症例

【試験の概要】
デザイン:RCT(多施設、二重盲検)
地域:ブラジル
登録期間:2012年4月18日〜2017年10月6日
観察期間:30日間
症例数:4191例(アトルバスタチン群2087例、ローディングなし群2104例)
解析:ITT解析
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【患者背景】
平均年齢61歳、男性が3/4、STEMI25%・NSTEMI60%・UAP15%、30%がもともとスタチン内服、実際にPCIを行った65%・CABGを行ったのは8%。
(実際にPCIを行ったのは、アトルバスタチン群1351/2087例、ローディングなし群1359/2104例と、両群ともに65%ぐらい。ブラジルではad hoc PCIが多いらしく、造影の前にrandomizationを行うという試験デザインにしないといけないようで、事前の予測では70%がPCIを行うと想定されていたので、だいたい予想通り。)

【結果】
アトルバスタチン群 vs ローディングなし群
primary endpoint
6.2% vs 7.1% 絶対リスク差0.85%(95%CI:-0.70to2.41%)

PCI施行例でのMACE
MACE=全死亡、心筋梗塞、脳梗塞、計画していない冠血行再建
6.0% vs 8.2% HR:0.72(95%CI:0.54-0.96)

PCIを施行したSTEMIでのMACE(post hoc analysis)
7.2% vs 12.9% HR:0.54(95%CI:0.35−0.84)

【まとめと感想】
ACS患者において、冠血行再建前のアトルバスタチンをローディングしても、MACEは減らないという結果。ただ、PCIを行った症例に限れば、効果があるかもしれない。特にUAPだといいだろうなと思います。