集中治療

トレンドレンブルグ体位は人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防には実用的ではない

Randomized, multicenter trial of lateral Trendelenburg versus semirecumbent body position for the preventionof ventilator-associated pneumonia
Intensive Care Med. 2017;43(11):1572-1584

◇リサーチクエスチョン
トレンデレンブルグ体位は人工呼吸器関連肺炎(VAP)を予防する効果があるか。

◇PICO
P:人工呼吸器が装着された重症患者
I:トレンデレンブルグ体位
C:半座位(semirecumbent)
O:細菌学的に証明されたVAP

secondary endpoint:死亡率、人工呼吸器装着期間、ICU滞在日数

◇試験の概要
デザイン:オープンラベルRCT(多施設)
地域:?
登録期間:2010年12月2日〜2015年4月20日
症例数:395例(トレンデレンブルグ体位194例、半座位201例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Hill‐Rom社)

◇結果
▶︎細菌学的に証明されたVAP
0.5% vs 4.0% RR:0.13 (95%CI:0.02-1.03)

▶︎細菌学的に証明されたVAP/1000人工呼吸器装着日数
0.88 vs 7.19 RR:0.12 (95%CI:0.01-0.91)

▶︎ICU死亡率
30.4% vs 23.9% RR:1.27 (95%CI:0.92-1.76)

▶︎院内死亡率
37.1% vs 31.3% RR:1.18 (95%CI:0.90-1.56)

▶︎28日死亡率
30.9% vs 26.4% RR:1.17 (95%CI:0.86-1.60)

▶︎重大な有害事象
6例(酸素飽和度低下、体位変換直後の著しい血行動態の悪化、事故抜管、体位変換直後からの持続する徐脈、正中神経障害、頭蓋内出血)

◇まとめと感想
重大な有害事象のため、試験は早期中止となった。

VAPの予防にはある程度効果がありそうだが、死亡率はちょっと高い傾向。venous returnは増えるし、肺のコンプライアンスは悪くなりそう。そういった循環動態や呼吸への影響が、死亡率増加に繋がっているのかも。