Receipt of Antibiotics in Hospitalized Patients and Risk for Clostridium difficile Infection in Subsequent Patients Who Occupy the Same Bed
JAMA Intern Med. Published online October 10, 2016.
目的
患者が抗生剤の投与を受けた場合、同一ベットを次に使用した患者はクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)のリスクが増加するか検証すること。
デザイン・セッティング・参加者
2010年から2015年に入院した成人患者を対象とした後ろ向きコホート研究である。CDIの再発、入院48時間以内に発症したCDI、不十分なフォローアップ期間、同一ベットの前の患者が24時間以内に転出した場合は除外した。
アウトカム
主要は暴露は、同一ベットを前に使用した患者に対する抗生剤の投与で、主要なアウトカムは同一ベットを次に使用した患者のCDIの発生率である。CDIの定義は、クロストリジウム・ディフィシル毒素B遺伝子に対する便ポリメラーゼ連鎖反応陽性である。
結果
同一ベットの連続使用患者は100615ペアで、そのうち576ペアでCDIを発症した。同一ベットを前に使用した患者に対する抗生剤の投与は、次に使用した患者のCDI発症と有意に関連があった(log-rank P<0.01)。その関連は、同一ベットを次に使用した患者に対する抗生剤投与を調整した後(adjustedHR1.22, 95%CI1.02-1.45)や、同一ベットを前に使用しCDI発症した患者1497例を除いた後(adjustedHR1.20, 95%CI1.01-1.43)も認められた。同一ベットを前に使用した患者と、次に使用した患者がCDIを発症することの関連は抗生剤の使用のみであった。
結論
抗生剤の投与は、同一ベットを次に使用した患者のCDIリスクの上昇と関連がある。抗生剤は、それを直接投与されていない患者に対しても影響があるかもしれない。
◇この論文のPICOは?
P:48時間以上入院した患者
E:同一ベットを前に使用した患者に対する抗生剤投与
O:CDIの発症
◇デザイン、対象、観察期間
・後ろ向きコホート研究
・ニューヨークの4つの施設
・COX比例ハザードモデル
・100615例
・観察期間:2−14日
ベットを後に使用した患者のcharacteristics
高齢、アルブミン低値、入院日数の長期化、抗生剤の使用、血液透析、制酸薬の使用、免疫抑制状態が、その患者のCDIのリスクになる。
◇結果
同一ベットの前の患者に対する抗生剤の投与が、後に使用した患者のCDIリスクを有意に上昇させている。
◇感想
抗生剤の投与がその患者のクロストリジウム・ディフィシルを増殖させ、環境も汚染してしまう。それにより、次にそのベットを使用した患者のCDIのリスクを増大させてしまうことの様です。つまり、抗生剤を適切に使用しなさいということでしょうか。