虚血性心疾患

低容量のコルヒチンは、安定狭心症患者の高感度CRPを低下させる

Effect of colchicine (0.5 mg twice daily) on high-sensitivity C-reactive protein independent of aspirin and atorvastatin in patients with stable coronary artery disease.
m J Cardiol. 2007 Mar 15;99(6):805-7

《要約》
安定狭心症患者において、高感度CRP(≧2.0mg/L)など炎症のバイオマーカーの上昇は、将来の血管イベントの予測因子である。長期間の低容量コルヒチンは炎症の抑制の安全で有効な方法である。アスピリンと高容量のアトルバスタチンを内服しているにもかかわらず高感度CRP≧2.0mg/Lの安定狭心症患者において、コルヒチンが高感度CRPを有意に低下させることができるか検証するため、オープンラベル試験を行った。

アスピリンとアトルバスタチンを内服している安定狭心症患者200例の血清高感度CRPを測定した。そのうち、64例は高感度CRPが2.0mg/L以上であった。20例は2週間後に再度、高感度CRPを測定した(対照群)。44例はコルヒチン0.5mgを1日2回内服し4週間後に再度、高感度CRPの測定を行った(コルヒチン群)。

無治療群では、平均高感度CRP値は初回4.28±2.03mg/L、再検査3.70±2.30mg/Lと有意な低下はなかった(平均変化率:11.0%、95%CI:−30% to +9%)。コルヒチン群では、平均高感度CRP値は初回4.58±2.05mg/L、再検査1.78±1.38mg/Lと、絶対値で2.80mg/L(95%CI:2.40−3.65)、変化率60%(95%CI:54%−67%)有意に低下した。コルヒチン群で28例に50%以上の高感度CRPの低下がみられ、31例は高感度CRPが2.0mg/L以下に低下した。重大な副作用の報告はなかった。

低容量コルヒチン(0.5mg、1日2回)は、アスピリンやアトルバスタチンの使用と無関係に上昇した安定狭心症の高感度CRPを、効果的に減少させた。進行した血管疾患を有する患者で低容量コルヒチンが臨床的なアウトカムを改善するか、さらなる試験が必要である。

◯論文のPECOはなにか
P:高感度CRPが2.0mg/L以上の安定狭心症
I:アスピリン、高容量アトルバスタチンに加え、コルヒチン0.5mg 1日2回の内服(コルヒチン群)
C:アスピリン、高容量アトルバスタチンの内服のみ(対照群)
O:高感度CRP

inclusion criteria:冠動脈造影による冠動脈疾患の証明、6ヶ月以上臨床的に安定した状態、高感度CRPに影響する併存疾患がないこと、アスピリンと高容量アトルバスタチン(80mg/日)を内服していること、非喫煙者

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(すべて本文より引用)

◯感想/批判的吟味
コルヒチンは低容量でも、体内に吸収されたあとは好中球内で濃縮し、抗炎症作用をもたらす。T細胞と血管内皮細胞の表面の細胞接着分子発現を抑制すること、単球の遊離を抑制すること、MMP−9の減少、TNF−αとIL−6の抑制などにより動脈硬化プラークに作用する。ということらしい。

家族性地中海熱(FMF)でより長期に使用したデータがあり、忍容性も確認されている様。